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糖尿病網膜症
検査の様子

糖尿病と目

 糖尿病の眼の合併症として、糖尿病網膜症がよく知られています。

 糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で目の中の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。定期的な検診と早期の治療を行えば病気の進行を抑えることができますが、実際には日本の中途失明原因の代表的な病気です。

 また、黄斑付近に毛細血管瘤などが多発したり血液成分が染み出たりするなどの理由から、黄斑にむくみを生じた状態が糖尿病黄斑症です。

 患者さまの立場からみた網膜症と黄斑症の違いはなにかというと、症状が自覚できるかできないか、ということでしょう。網膜症の自覚症状は、硝子体〈しょうしたい〉出血や網膜剥離〈はくり〉が起きたときに急に現れ、それまで患者さま本人はほとんど気付きません。ところが、黄斑症の場合、たとえ黄斑以外の網膜が正常だとしても、視力は著しく低下してしまいます。

 糖尿病黄斑症は、糖尿病の患者さまのおよそ10%に起きているといわれています。ただし、黄斑も網膜の一部ですから、網膜症の起きている人ほど黄斑症が起きる率も高くなる関係があり、実際に増殖網膜症まで進行している人の黄斑症発症率は、71%に上ります。

眼底の検査

OCT(光干渉断層計)による眼底検査は、黄斑部疾患の検査の精度を向上させました。
網膜の中心部を「黄斑」といいますが、糖尿病では網膜の血流障害がおこり、黄斑症といって黄斑部の腫れがおこります。視力が低下したり、ものがゆがんで見えたりします。
これまでは医師による眼底検査でしか観察できませんでしたが、新たに開発されたOCT(光干渉断層計)検査では、黄斑部の断層画像を撮影することで、黄斑部の腫れを見逃すことなく、早期に発見することができ、また定期的な観察もより詳しくおこなうことができるようになりました。
また、加齢黄斑変性など黄斑部の疾患については、これまで見ることのできなかった網膜の断層がみることができるため、詳細なデータを得ることができ、また加齢黄斑変性に対する治療法も進歩してきたため、治療作用を判定することにも有用です。